ばばぶろぐ

読書感想を綴ったり趣味の福袋を楽しんだりするブログ。 まとめサイト等への転載はお断りします。

2024-01-01から1年間の記事一覧

M・W・クレイヴン「恐怖を失った男」感想

分類としてはアクション小説(?)らしく、あまりよく知らない分野だが、 読んでみると確かにアクション小説としか言いようがない感じ。 しょうもない言い方になるが、ハリウッドの映画にありそう。 観てないんだけど「ジョン・ウィック」的な感じかな?と思…

小西マサテル「名探偵のままでいて」感想

第21回このミステリーがすごい!大賞受賞作。これもなんか、前の2作ほどじゃないけどやっぱりミステリ成分は控えめでラノベ感がある仕上がり。ほっこり系日常ミステリとでもいうべきか……。三作続いているところを見るとわざとやっているんだろうと思うけど、…

短い読書記録いろいろ①

■アンソニー・ホロヴィッツ「ナイフをひねれば」面白かったけど、ちょっと物足りなかった。何だろう、ホロヴィッツが不幸に見舞われるターンが長すぎた?謎解き部分を楽しみたいのに、そっちが手薄になってる印象。そのせいか今回はホーソーンよりもホロヴィ…

リチャード・オスマン「木曜殺人クラブ」感想

海外ミステリ読んでるとままあるけれど、登場人物がなかなか入って来なくてかなり読みづらかった。同じように片仮名の人名でも読みやすいのもあるのに、何故なんだろう。この本は混乱したって感想を結構見かけたので、私だけの現象ではなさそう。視点がちょ…

アレン・エスケンス「償いの雪が降る」感想

なんかちょっと素敵な感じのタイトルが印象的で、そういえば以前書評で見かけたことがあったなと思い出し、読んでみた。 誰か身近な人の伝記を書こう!という大学の課題に対し、まともな大人が身近にいない主人公のジョーは、介護施設に赴いて手頃な(という…

辻村深月「傲慢と善良」感想

※おおいにネタバレ 「高慢と偏見」にひっかけたタイトル。前評判通り、えぐられるえぐられる……!これだけ読む方の内面に突き刺さるのだから、作者側も自分の心理を深いところからさらけ出す感じで書いているんだろうなと思われ、辻村深月恐るべし、と改めて…

今村昌弘「明智恭介の奔走」感想

「屍人荘の殺人」の前日譚的な、軽い短編集。 大きな事件が起きるわけでもなく、大学で「ミステリ愛好会」として活動する明智が日常の謎(的なもの)に挑む話が5つほど。明智ファンブック的な感じで楽しめる人にはよいかもしれない。 自分は「屍人荘の殺人」…

キャサリン・R・ハワード「56日間」感想

ナッシング・マンが面白かったので、同作者の評判の良いこれも読んでみた。 「56日前」偶然にスーパーで出会った男(オリヴァー)と女(キアラ)。 しかし時はコロナ禍、ロックダウンで外出や移動が制限されることとなり、 恋がはじまったばかりで一番楽しい…

永井紗耶子「木挽町のあだ討ち」感想(第169回直木三十五賞・第36回山本周五郎賞 受賞作)

一つの事件について複数の関係者に証言を聞くうちに新たな側面が見えてきて、 やがて秘められていた全貌が明らかになる……というオーソドックスなインタビュー形式の小説。 芝居小屋の裏手で、白皙の美少年が博徒に身を落とした父の仇を討ち取った「木挽町の…

夕木春央「十戒」感想

※激しくネタバレ要素を含みます。 方舟がヒットしたので似た雰囲気で出した(広義の)続編だと思ってたんだけど、 何か同じような犯人像……?と思いきや同一人物で、 読み終えてみたら「お前かよ!!」っていう……広義どころかガチガチの続編。 まぁ、フィクシ…

鴨崎暖炉「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」(第20回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作)

文章が相当軽い感じなので、ノリが合わないときついかもしれない。 (本格ミステリとか読む層には微妙かも。) 私は結構好きだったので、何も気にせず楽しく読めた。 動機とか人間関係のもつれとかそういうのはまったく捨ておいて、 とにかく密室を山盛りに…

ジャネット・スケスリン・チャールズ「あの図書館の彼女たち」感想

ナチス占領下のパリ、アメリカ図書館で。 ナチスからの迫害、人種差別、市民の密告などの中でも 気概と信念をもって働く図書館員! みたいな職業人の信念を描くというより、がっつり人間ドラマだった。 ポールとその同僚も多分悪い人というわけはなくて、 占…

M・W・クレイヴン「キュレーターの殺人」感想

※ネタバレ要素あり※ おもしろかったー! が、前作のラストで新たな展開を期待させておきながら、 そっちがほぼほぼ進展なしなのは少々肩透かしではあるか。 でもポーもティリーも相変わらずの名コンビで (フリン警部は何と妊娠していた)、 展開もテンポよ…

東野圭吾「クスノキの番人」感想

何となく手が伸びずにいたが、 続編も出たわけだから人気があるのだろうと読んでみた。 相変わらず非常に読みやすく、普通に面白くもあったが、 こちらの期待値を超えてきたわけではない、という印象。 主人公の玲斗は、職場を解雇され、腹いせに盗難未遂を…

キャサリン・R・ハワード「ナッシング・マン」感想

面白かった。 五件の強姦/殺人事件を連続して起こし、そのまま逮捕を免れている凶悪犯<ナッシング・マン>ことジムが視点人物。 今はうだつの上がらないショッピングモールの警備員を務めているが、 自分はかつて口中の人々を震撼させたんだ、というゆがん…

ネビル・シュート「パイド・パイパー 自由への越境」感想

第二次世界大戦下。英国老紳士、ジェントルマンのハワードは息子を亡くし、フランスに傷心旅行へ。 しかし戦局の悪化に伴い、祖国の為に何かをしなくてはという思いに駆られて帰国を決意する。 ……が、諸々の事情により、特に血縁もない幼い兄妹を一緒に連れ…

ピーター・スワンソン「8つの完璧な殺人」感想

主人公のマルコムはミステリ専門の古書店主。 過去に書いたブログ記事、「8つの完璧な殺人」を基にして 連続殺人が発生しているのではないかと考えた(正直、「小説を基にした」というほどわかりやすい模倣ではないものも多く、よくそんな発想したな……という…

東野圭吾「マスカレード・ゲーム」感想

映画化された大ヒットシリーズ。エンタメ色強め。 ライバル的な女性警部が新登場。 やっぱり相容れない同僚がいると話が盛り上がるのだろうけど、 男社会の中で働くために(?)対抗意識バリバリの女性で、 乱暴な捜査手法も正義を追い求める故……みたいのっ…

安壇美緒「ラブカは静かに弓を持つ」感想

ファンタジーっぽいタイトルだが現代日本が舞台。 JASRAC(仮)による、音楽教室でのレッスン中に使用される楽曲に対する 著作権料徴収に絡んだ、事実を題材にしたフィクション。 これ、ニュースになったから当時見たとは思うんだけど、もうすっかり記憶にな…

辻真先「殺人の多い料理店」感想

何となくタイトルに惹かれて読んだだけ。 タイトル通り、宮沢賢治を題材にしたミステリって感じだけれど その他に特筆すべきところはなかったかなという印象。 ただ、忘れそうなので記録のため記載。 自分の勝手なイメージだけど、 昔って結構次から次に本を…

映画「ラストマイル」感想

ブラックフライデーを迎え、多分一年で最も注文が多いAmazon(仮)から届いた段ボールが爆発するという事件が連続で発生するというサスペンス。群像劇……ともいえそう。 大量の荷物を運ぶベルトコンベアを少しでも止めると利益率が落ちるという状況で、爆弾探…

早見和真「店長がバカすぎて」「新!店長がバカすぎて」

お仕事小説と、覆面作家の正体は誰なのかというミステリっぽさが混ざった感じの、ドラマ化するのにちょうどよさそうな感じ。読みやすいんだけど、自分はちょいちょい何かひっかかるところがあったかも。 まずこの本(店長がバカすぎて)が超傑作!本屋大賞行…

ジャニス・ハレット「ポピーのためにできること」感想

結構な厚さの文庫本だが、事件関係者のメールやSMSでのやり取りのみで構成されている。 地の文が最後まで一切なかった。 こういった形式を織り交ぜた小説は読んだことがあったけど、 最後までそれのみってのは初めて見た。 これだけの文量を、それぞれのキャ…

結城真一郎「#真相をお話しします」 感想

短編集。 それぞれの繋がりもないので、気軽に読める。 当然どこで手を止めてもいいんだけど、読みやすかったので一気に読んでしまった。 それぞれの話で、丁寧に謎解きが行われるのだけど、 どうもこれが皆同じような調子で行われているように思われ、 そん…

青崎有吾「地雷グリコ」感想

超天才高校生たちが繰り広げる頭脳バトルゲーム(?)。 この手のバトルにデスゲームを絡めたようなのは漫画がいっぱいありそうで、 私がすぐ思い出したのは「ライアーゲーム」だったけど、「嘘喰い」の方が近いかな? もっともこっちは基本的には命や大金を…

ジョージェット・ヘイヤー「紳士と月夜の晒し台」感想

「月夜の晩、ロンドンから離れた村の広場で、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の刺殺体が発見された……」 と、あらすじを読むと面白そうなのだが、 読み終えてみるとこれがミステリだったのかどうかに疑問符。 「ハナサイド警視シリーズ」の一作目とかだった筈だ…

映画「キングダム 大将軍の帰還」感想

凄く楽しみにしてた今作。 前半は前回に引き続いて、武神・龐煖(吉川晃司)の猛攻とそれを凌いで逃げる飛信隊。 仲間がやられたんだから仇討ちを、って呼びかけに、 一匹狼だった羌瘣(清野菜名)が「当然だ」って答えたのは地味にちょっとアツいなと思う。…

時雨沢恵一「キノの旅」感想

Youtubeをダラダラ流し見ていたら、鬱アニメとして紹介されていて、 興味がわいたのでちょっと読んでみた昔のラノベ。 少年のような見た目をした少女キノと、喋るモトラドのエルメスが 色々な国を旅する連作短編集である。 進行は非常に淡々としていて、やる…

サラ・ヤーウッド・ラヴェット「カラス殺人事件」感想

「博士の知識なくして、この謎は解けない。」が売り文句ではあるが、 あれこれ謎を解き明かしたり犯人を推理したりするタイプの本ではなかった。 訳あって他人との関わりに臆病になっている主人公(超美人)のロマンスのはじまり……が主軸で、 スパイスとして…

奥泉光「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」シリーズ 感想

この笑いが好みに合うかどうかがすべてだと思うが、 私には非常に面白く、読み始めて数ページで笑い声がこぼれた。 タイトルの雰囲気からイケメン系の主人公かと思って読み始めたところ全くそんなことはなく、 金もなく意識も低く向上心はゼロ、大学でも顧問…