ばばぶろぐ

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東野圭吾「クスノキの番人」感想

何となく手が伸びずにいたが、
続編も出たわけだから人気があるのだろうと読んでみた。
相変わらず非常に読みやすく、普通に面白くもあったが、
こちらの期待値を超えてきたわけではない、という印象。

主人公の玲斗は、職場を解雇され、腹いせに盗難未遂を起こして逮捕される。
釈放の条件として、願いが叶うという噂のクスノキの番人に。
ちょっと道を踏み外したものの根が腐っているわけではなく、
地頭がよい風な主人公像が何か「如何にも」だなと思ってしまう捻くれた私。
若いからと言ったらそれまでだが、この主人公のノリの軽さとか、
出てきた女にホイホイ好意を抱くのが非常に東野圭吾的だと思う。

何より、本人としては見習い的にはじめた仕事で、また結果オーライではあったかもしれないが、
娘(自称)が父の不貞を疑っているから(本人談)みたいな雑な理由で
御神木に自分の内心を祈念するというような極めて個人的な場の盗聴やら何やらを許容するのは看過し難く、
いい話っぽい雰囲気になってるけど「いやダメだろ」としか思えない。
何か終盤にいくにつれて玲斗アゲ、という感じの急な有能感を出してくるが、
この職業倫理欠如しすぎ問題が気になり過ぎて乗り切れなかった。

千舟さんと後継社長の信頼関係はとてもよかったと思う。