第21回このミステリーがすごい!大賞受賞作。
これもなんか、前の2作ほどじゃないけどやっぱりミステリ成分は控えめでラノベ感がある仕上がり。
ほっこり系日常ミステリとでもいうべきか……。
三作続いているところを見るとわざとやっているんだろうと思うけど、
何か折角「ミステリ」を冠した賞なんだから、
たまに変わり種を選ぶにしてももっとガチガチのミステリを勧めてほしい、と個人的には思う。
主人公(小学校教諭。美女)の祖父が安楽椅子探偵として
日常のプチミステリをすらすらと解き明かす連作。
この祖父は小学校の校長を務めていた人で、イケオジならぬイケジジ。
実写化するならば草刈正雄系のイケメンであることが想定される。
認知症を患っていて幻視症状があるものの、
生来の知的な部分をなくしたわけではなく、認知症の症状には波がある……という設定(この病気ではそれが当然かもしれないが、便宜設定と書く)なので
基本的に知的で頼りになるジェントルグランパである。
そんなわけで推理力冴えわたる祖父なので、
認知症、ってのが特段活きている感じがなくて
「珍しい名探偵像」を作るための単なるキャラクター付けでしかない印象。
そしてその脇で主人公を巡る三角関係も繰り広げられているわけだが、
岩田と四季の二人のうち主人公がどちらに魅かれたのかはぼやかされたまま終わる。
四季がおすすめだけどな~!
とはいえ、ぼやかされたからと言ってじゃあ続編読もう!とは思わない。
この本を読んで興味がわいたので、この後「たんぽぽ娘」を読んだ。
ごくごく短い短編で、本当は短編集のうち、この「たんぽぽ娘」をまず読んでから他の短編を、という心積もりだったけど、
あんまり面白いと思えなくて「たんぽぽ娘」+1篇で終了した。